障害年金のQ&A
Q. 障害年金の遡及請求とは?
A. 障害年金制度について知らなかった方などのために、本来ならば受給できていたであろう障害年金をさかのぼって請求することを遡及請求といいます。
過去にさかのぼって障害年金を受給することを、正式には認定日請求と呼びます。
障害年金を受給できる権利は、初診日より1年6ヶ月後の障害認定日に発生します。
ただし年金請求の時効は5年ですから、最高5年を限度として遡れます。
遡って認定された年金は、認定日より50日後に一括で口座に振り込まれます。
Q. 働きながらでも障害年金は受給できますか?
A. はい、受給できます。
精神の病気での申請は難しい場合もありますが、その他の障害であればもらえる可能性があります。
但し、20歳前傷病の場合は、障害基礎年金については、所得制限があります。
所得により、半額支給・全額停止になります。
Q. 障害が2つあります。障害年金は増えますか?
A. 2つ以上の障害を併せて認定することで、上位等級に変更できることもあり、合併認定といいます。
新たに障害が発生した場合などが該当します。
例えば、障害年金3級を受給中に、新たな障害が発生し、2級又は1級に該当しましたら、年金額が増えますので、生活もより安心できます。
初診日についてのQ&A
Q. 初診日が10年以上前にあるため、カルテの保存がないと言われました。この初診日での請求はどうなりますか?
A. カルテなどがなく、初診日証明をとることができない場合でも、病院で受診していれば障害年金を請求することが可能です。
この場合は、初診日証明がとれない理由を記載した「受診状況等証明書が添付できない理由書」と、その病院を受診していたことが客観的に証明できそうな資料(例:診察券、レシート、健康診断の結果など)の添付が必要です。
Q. 初診日が10年以上前にあり、カルテがないと言われました。その後通った病院で初診日とすることはできますか?
A. 10年以上前に通った病院から最近かかった病院の間に、全く治療などにかかっておらず、現在かかっている傷病との継続関係が認められない場合は、最近通った病院に初めて受診した日を初診日とすることができます。
これは、いったん治癒(社会的治癒)したものとし、現在の傷病とは別に扱う方法です。
社会的治癒が認められる要件は次のとおりです。
- 症状が固定し、治療を行う必要がなくなったとき
- 少なくとも5年、自覚的にも他覚的にも病変や異常が認められないとき
- 一定期間、普通に就労できていること
また、社会的治癒が認められず、後に通った病院に前の病院からの転院記録が残っている場合は、この方法で請求することはできません。
カルテが残っていない為に障害認定日時点での診断書を用意することができない場合は、事後重症の請求として請求することになります。
Q. 初診日が不明です。初診日をどのように調べたらいいのでしょうか?
A. 診察券や領収書、手帳に記録が残っていないか探してみてください。
初診日が大体いつ頃なのかを一生懸命思い出してみてください。
5年以内であれば、市区町村、協会健保または健康保険組合にレセプト(診療報酬明細書)の開示請求をして、初診日を調べることも可能です。
保険料納付要件についてQ&A
Q. 国民年金保険料が未納となっている期間があります。この期間の保険料を追納して障害年金の請求はできますか?
A. 初診日の後に追納したとしても、保険料納付要件を満たす事はできません。
納付したとしても未納期間として扱われます。
Q. 3号の届出を忘れていた為、遡って訂正手続きをした場合、障害年金を請求することはできますか?
A. 訂正の届出をすると、過去2年分遡って保険料納付済み期間となります。
その遡って納付済み期間とされた期間で納付要件を満たすか、又は、20歳以降の初診日までの期間に1/3以上の保険料滞納期間ないという要件を満たすことで請求できます。
障害認定日についてのQ&A
Q. 障害認定日付近では診察を受けていないのですが、障害認定日請求はできますか?
A. 障害認定日時点で診察を受けていない場合は、カルテがないので、診断書も記入できません。
診断書を書いてもらえない場合は障害認定日請求はできないので、事後重症として障害年金を請求していただくことになります。
Q. 19歳で厚生年金に加入してお勤めしています。20歳にならないと障害年金の請求はできませんか?
A. 会社員で厚生年金に加入している場合は、第2号被保険者となるため、20歳前でも請求することができます。
この場合は、20歳までは障害厚生年金が支給され、20歳以降は障害基礎年金と障害厚生年金が支給されることになります。
Q. 中学生の頃にうつ病と診断され、30歳の現在も継続療養中です。このような場合、障害年金を請求できますか?
A. 20歳前の障害認定日時点で、障害等級に該当する程度の障害の状態であれば、保険料納付要件を問われることなく障害年金を請求することが可能です。
また、事後重症としても請求が可能です。
障害の程度についてのQ&A
Q. 労働に制限があるとはどのような状態ですか?
A. 当日欠勤、遅刻、早退を繰り返している、休みがち、接客ができない等、職種、職務が限定、長期間の安定就労ができない場合などをいいます。
Q. 常生活に支障があるとはどの程度ですか?
A. 日常生活を、社会人として援助を得ることなく送ることができる程度のことをいいます。
保護者や援助者の指示、声掛けがないとできないのであれば、動作自体ができても、ひとりでできることにはなりません。
単純に一つ一つの動作ができるかどうかの判断ではありません。
Q. 薬物の使用による精神障害は障害年金の対象外になるのでしょうか?
A. 薬物使用による精神障害も障害年金の対象となるケースがあります。
診断書についてのQ&A
Q. 初診日が7年前にあり、障害認定日におけるカルテがなく、診断書がとれません。どうしたらいいですか?
A. 初診日時点での診断書が取れない場合、原則、認定日請求はできません。
認定日請求ができない場合は、請求時点(事後重症)での診断書で請求することになります。
但し、工夫をして書類を集めることにより、認定日請求ができたケースもあります。
その他のQ&A
Q. うつ病の気があるため、会社を退職しようか考え中です。何か注意すべき点はありますか?
A. 在職中に病院を受診して、初診日を確定することをお勧めします。
Q. 障害者手帳をもっていなくても障害年金を請求できますか?また、障害者手帳の等級と障害年金の等級は同じですか?
A. 障害者手帳がなければ障害年金が受給できないということはありません。
障害者手帳の等級と、障害年金の等級も全く見方が違います。
手帳の1級の人であっても、障害年金は3級該当することもありますし、逆に3級でも2級になることもあります。
Q. 障害年金受給後に障害の程度が重くなりました。どうしたらいいですか?
A. 障害認定が下りた後、1年を経過したところで現況届を提出、又は額改定請求をします。
それにより等級の変更を申し出る事が可能となります。
傷病によっては、1年経過しなくても額改定請求できるケールもあります。
Q. 障害年金が受給できた場合は、その後、会社で働くことは可能ですか?
A. はい、可能です。
次の診断書提出までは支給を停止されることは原則ありませんが、次に診断書を提出した際、支給停止となる可能性はあります。
20歳前傷病の場合は、障害基礎年金については、所得制限があります。
所得により、半額支給・全額停止になります。
Q. 役所や年金事務所から務めている会社宛に通知が届くことはありますか?
A. 役所や年金事務所などから、障害年金について会社宛に通知はいきません。
障害年金に関するものは直接請求者に通知されます。
Q. 障害年金と雇用保険の失業給付は、両方受給できますか?
A. 失業手当と障害年金は同時に受給できます。
Q. 生活保護を受けていますが、障害年金を受給した場合、給付額は減らされますか?
A. 障害年金の額が生活扶助額より少ないとき ・・・・・ 生活保護費が減額されます。
障害年金を受け、同時に生活保護費も差額(生活扶助額 - 障害年金)分を受けることができます。
その他の収入(給与など)があるときは、その額が考慮されます。
但し、働くことが不可能であるかどうかなどが調べられます。
障害年金の額が生活扶助額より多いとき ・・・・・ 生活保護費は受けるこはできません。
Q. 障害年金を受給しながら働いている場合、所得制限はありますか?
A. 20歳前に初診日がある場合の障害基礎年金については、一定の所得制限があります。
所得制限額は、扶養家族がいない場合で、次の通りとなります。
所得額が3,604,000円(給与収入で5,183,000円) ・・・・・ 半額支給停止
所得額が4,621,000円(給与収入で6,451,000円) ・・・・・ 全額支給停止
※扶養親族の人数に応じて、この限度額は高くなります。
Q. 健康保険の傷病手当金を受給中に障害年金を請求すると、傷病手当金はどうなりますか?
A. 同一の傷病により、傷病手当金と障害厚生年金が受給できる場合、原則として、障害年金が優先となり、傷病手当金は支給停止されます。
但し、障害年金の年額の1/360の金額が、傷病手当金の日額に満たない場合、その差額の傷病手当金が支給されます。
既に、傷病手当金を受給した期間にさかのぼって障害年金を請求した場合、傷病手当金と重複する期間については、これまで受取った傷病手当金のうち、障害年金の日額(年額の1/360)×重複している期間の日数分を返却することになります。
Q. 障害年金を受給中です。今より症状が軽くなり、働けるようになった場合、障害年金は受給できなくなりますか?
A. 働けるようになったからといって、障害年金が受けられなくなるわけではありません。
但し、精神障害の場合は特に、次回提出する診断書の内容によっては、等級が下がったり、支給停止になることはあるかもしれません。